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はじめに:「旅行が好きだから」は観光学部の志望理由として機能しない
観光学部の志望理由書でもっとも多いのが「旅行が好きだから」「将来は旅行業界で働きたいから」「人を楽しませることが好きだから」という書き出しだ。しかしこの水準では差別化にならない。なぜなら観光学部を志望する学生の大半が同じような動機を持っているからだ。
観光学部の志望理由書で最初に答えなければならない問いは「なぜ経営学部でも地理学部でもなく、観光学部なのか」だ。観光学は経営学・経済学・社会学・地理学・文化人類学などを横断する学際的な学問だとされている。「旅行が好き」という感情だけでは、この学問への理解は伝わらない。
本記事では、観光学部の志望理由書で実際に差がつく5つのポイントを現場の知見をもとに解説する。
ポイント① 「観光学」という学問の核心を正確に理解する
対象読者: 志望理由書を初めて書く高校生 / 難易度:★☆☆ / こんな課題を持つ人に:観光学部で何を学ぶかイメージできていない
観光学は「旅行の仕方を学ぶ学問」ではない。観光という現象を、複数の学問の視点から多角的に分析する学際的な学問だとされている。観光学は主に以下の3つのテーマから構成されているとされている。
| テーマ | 学ぶ内容 |
|---|---|
| 産業としての観光 | 旅行業・ホテル・交通など観光産業のビジネスモデルと経営 |
| 地域と観光 | 観光による地域振興・町おこし・観光まちづくり |
| 文化と観光 | 観光が地域文化・社会に与える影響と持続可能な観光 |
観光学部を選ぶ説得力のある理由は「観光を一つの学問だけでは捉えられない複合的な現象として研究したい」という点だ。
| 比較 | 違いの核心 |
|---|---|
| 経営学部との違い | 経営学は企業経営全般を扱う。観光学は観光産業に特化し、地域・文化の視点も統合する |
| 地理学部との違い | 地理学は土地・空間を科学的に分析する。観光学は地理に加え、産業・社会・文化を横断する |
| 社会学部との違い | 社会学は社会現象全般を分析する。観光学は観光を軸に産業・地域・文化を実践的に研究する |
みおさん(編集部)のコメント 「観光学の入門書を読んでから書き直した先輩は、面接で『観光が地域文化に与える影響という切り口が具体的』と言われたそうで、学問として捉えられるかが評価を左右します!」
はるかさん(編集長)のコメント 「実際に支援した大学の入試担当者から、観光学部の志望理由書で最もよく見られる失敗は『旅行が好き』で止まることで、観光を学問として語れる学生が少数派だと聞いています!」
ポイント② 体験を「観光学的な問い」に変換する
対象読者: 書き出しが他の受験生と同じになってしまう高校生 / 難易度:★☆☆ / こんな課題を持つ人に:エピソードはあるが深掘りできていない
観光学部の志望理由書では「その体験がどんな観光学的な問いを生んだか」が評価の鍵だ。
| 体験の型 | 観光学的な問いへの変換例 |
|---|---|
| 旅行・観光地での体験 | 「なぜ同じ観光地でも賑わう場所とそうでない場所があるのか」→観光地マーケティング |
| 地元の観光・町おこし体験 | 「なぜ観光資源があるのに地域経済が潤わないのか」→地域振興・観光まちづくり |
| 海外旅行・異文化体験 | 「観光は地域の文化をどう変えるのか」→文化と観光・持続可能性 |
| ホテル・接客での感動体験 | 「なぜあのサービスは記憶に残るのか」→ホスピタリティ・サービス科学 |
「旅行が好きで色々な場所に行った」で終わるのではなく、「なぜ同じ自然環境でも観光客を惹きつける地域とそうでない地域があるのか——観光資源を地域振興につなげる仕組みを研究したい」という水準まで深掘りできると、観光学部ならではの志望理由として機能する。
変換の具体例
| 体験段階(NG) | 問いへの変換(改善) |
|---|---|
| 「旅行が好きだから観光を学びたい」 | 「なぜ観光客が来ても地域にお金が落ちないのか——観光と地域経済の関係を研究したい」 |
| 「ホテルのおもてなしに感動した」 | 「なぜあのサービスは記憶に残ったのか——ホスピタリティを科学的に分析したい」 |
| 「外国人観光客が増えていると感じた」 | 「インバウンドの急増は地域文化にどんな影響を与えるのか——持続可能な観光を研究したい」 |
みおさん(編集部)のコメント 「友人が地元の祭りに観光客が増えて住民が困っている現象から、観光と地域社会の摩擦への問いを書いたら面接で深い議論になったと言っていました!」
ポイント③ 志望校の「ゼミ・教員・プログラム」を調べて自分の問いと結びつける
対象読者: どの大学にも使える志望理由になっている高校生 / 難易度:★★☆ / こんな課題を持つ人に:志望校への解像度が低い
観光学部は立教大学・和歌山大学・琉球大学・東洋大学・阪南大学など多くの大学に設置されているが、研究の重点(観光ビジネス・地域振興・ホスピタリティ・国際観光など)は大学によって異なる。「観光を学びたい」だけではどの大学にも使える汎用文になってしまう。
| 確認ポイント | 調べ方 |
|---|---|
| 専任教員の研究テーマ(観光経営・地域振興・文化等) | 大学公式サイト・researchmap |
| ゼミ・演習で扱うテーマと地域連携・実習 | 公式シラバス・大学広報誌 |
| 取得できる資格(旅行業務取扱管理者・通訳案内士等) | 大学公式サイトの資格ページ |
| インバウンド・国際観光プログラムの充実度 | 大学プレスリリース |
「○○教授の観光まちづくり研究ゼミで、過疎地域における観光を活用した地域経済再生の事例を研究したい」という形で、教員名・ゼミ名・研究テーマまで言及できると、審査担当者に「本気で調べている」という確信を与えるとされている。
けんさん(副編集長)のコメント 「researchmapで教員の研究テーマを確認すると、その大学が観光ビジネス・地域振興・国際観光のどれに強いかが見えてきます。自分の問いと一致する研究室を見つけると説得力が一段上がります!」
ポイント④ キャリアビジョンを「3点セット」で語る
対象読者: 将来像が「なんとなく観光業界」しかない高校生 / 難易度:★★☆ / こんな課題を持つ人に:具体的なキャリアイメージが語れない
「旅行会社で働きたい」「ホテルで働きたい」という職種・業界名だけで止まると評価の根拠が見えない。「誰の・どんな課題に・どんな観光学的アプローチで取り組むか」を3点セットで語ることが重要だ。
| 曖昧な回答(NG) | 3点セットに変換(改善) |
|---|---|
| 「旅行会社で働きたい」 | 「過疎が進む地方に対して、地域資源を活かした体験型ツアーを企画し、地域経済の活性化に貢献するツアープランナーになりたい」 |
| 「ホテルで働きたい」 | 「増加する外国人観光客に対して、異文化理解に基づくホスピタリティで日本の魅力を伝えるホテルマネージャーを目指したい」 |
| 「観光に関わりたい」 | 「観光と環境保護を両立させるエコツーリズムの専門家として、持続可能な観光プロジェクトを地域と共に立ち上げたい」 |
観光学部で目指せる主な資格
| 資格 | 概要 |
|---|---|
| 旅行業務取扱管理者(国家資格) | 旅行業界唯一の国家資格・国内/総合の2種類 |
| 全国通訳案内士(国家資格) | 外国人観光客を案内する語学+知識の専門資格 |
| 旅程管理主任者 | ツアーコンダクターに必要な資格 |
| ホテルビジネス実務検定 | ホテル業界での専門知識を証明 |
はるかさん(編集長)のコメント 「観光学部の面接で評価されるのは、キャリアと学びが一本の線でつながっている受験生で、業界名だけでなく誰のどんな課題に取り組むかを語れる学生が印象に残ると複数の担当者から聞いています!」
ポイント⑤ NGパターンと高評価を受ける表現の違いを知る
対象読者: 一度書いたが手応えがなかった高校生 / 難易度:★☆☆ / こんな課題を持つ人に:何が問題かわからない
観光学部の志望理由書に繰り返し見られるNGパターンを整理する。
| NGパターン | 問題点 | 改善の方向性 |
|---|---|---|
| 「旅行が好きだから」のみ | 全員が言える動機で差別化にならない | 「観光のどの現象を・なぜ学問として研究したいか」を加える |
| 「人を楽しませるのが好き」 | 接客業全般に言える | 「観光ならではの体験価値」への関心に接続する |
| 「将来は旅行会社で働きたい」で止まる | 学問への接続が見えない | 「観光学のどの知識でどんな課題を解決したいか」を語る |
| 「貴学の充実した環境に惹かれた」 | どこでも使える汎用文 | 教員名・ゼミ名・資格支援への言及に変える |
| 「観光で地域を盛り上げたい」で止まる | 思いは伝わるが具体性がない | 「どの地域の・どんな課題を・どう解決するか」を具体化する |
【文例】観光学部 志望理由書サンプル(400字程度)
私が観光学部を志望するきっかけは、祖父母が暮らす地方都市が、豊かな自然と歴史的な街並みを持ちながら観光客が素通りしていく現実を目の当たりにしたことだ。隣の有名観光地には大勢の人が訪れるのに、なぜここには人が来ないのか——この疑問が観光への関心の出発点だった。
観光に関する書籍を読む中で、観光資源があるだけでは人は集まらず、情報発信・交通アクセス・体験設計・地域の受け入れ体制といった複合的な要素が観光地の成否を決めることを知った。観光は経営・地理・文化・社会が絡み合う学際的な現象であり、一つの学問では捉えられない——だからこそ観光学部で総合的に学びたいと考えた。
貴学観光学部の○○教授の観光まちづくり研究ゼミで、地方都市が観光を地域経済の活性化につなげる条件を事例研究で明らかにしたい。将来は地域の観光資源を活かしたツアー企画を通じて、素通りされていた地域に人を呼び込み、地域経済に貢献する仕事に携わりたいと考えている。
まとめ:観光学部の志望理由は「学問としての観光」と「問いの具体性」で差がつく
| ポイント | 要点 |
|---|---|
| ① 学問の核心を理解する | 観光を経営・地域・文化の複合現象として捉える学際性を語る |
| ② 体験を問いに変換する | 「旅行が好き」で止めず「観光学的な問い」に転換する |
| ③ 志望校を具体的に調べる | 教員・ゼミ・資格支援を調べ「この大学でなければならない理由」を作る |
| ④ キャリアを3点セットで | 「誰の・どんな課題に・どんな観光学的手法で」を明示する |
| ⑤ NGパターンを点検する | 「旅行が好き」「人を楽しませたい」などの汎用フレーズを排除する |
観光学部の志望理由書の核心は「旅行への憧れ」を「観光という現象への学問的な問い」に変換できるかどうかだ。この問いに答えられれば、なぜ観光学部なのかが自然と説明でき、説得力のある志望理由が生まれてくるはずだ。
本記事は志望動機.com編集部が作成したものだ。面接・志望理由書の評価基準・取得できる資格は大学・学科によって異なる。最新情報は各大学の募集要項・入試説明会で確認することをすすめる。
