総合大学と専門職大学の違いって何?|制度・学び方・選び方を、専門学校との違いまで含めて整理する

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※本記事の専門職大学等の制度、設置基準、各校のカリキュラムは、法令改正や各大学の判断により変更される場合がある。また、教育の実態は大学ごとの差が大きい。進学を検討する際は、必ず文部科学省の公表情報と各大学の公式サイト・最新の募集要項で確認してほしい。

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はじめに:「専門職大学って、専門学校のこと?」という誤解から解いていく

進路情報を集めていると、「専門職大学」という言葉に出会う。多くの高校生と保護者の最初の反応は、「専門学校の別名?」あるいは「普通の大学と何が違うの?」だ。無理もない。専門職大学は2019年度に生まれたばかりの、短期大学の制度化以来55年ぶりという新しい大学の類型であり、知名度はまだ発展途上にある。

先に要点を言えば、専門職大学は専門学校ではない。法律上の「大学」であり、卒業すれば大卒にあたる学位が得られる。そして従来の大学とも設計思想が異なり、卒業単位の3〜4割を実習が占め、教員の4割以上が実務家という、職業実践に振り切った大学だ。

本記事では、言葉の正体の整理から、専門職大学の中身、総合大学(従来型の大学)の中身、専門学校まで含めた3者比較、そして自分に合う選び方までを、5つのポイントに絞って解説する。

① まず言葉の整理:「総合大学」は通称、「専門職大学」は法律上の新類型

【対象読者:言葉の違いから知りたい高校生と保護者 / 難易度:★☆☆ / こんな課題を持つ人に:そもそもを理解したい】

比較の前に、2つの言葉の性格の違いを押さえておきたい。実はこの2つは、同じ次元の言葉ではない。

言葉 正体
総合大学 法令用語ではなく通称。複数の学部を持つ従来型の大学を指すことが多い
専門職大学 学校教育法に定められた大学の一類型。2019年度に制度化された

「総合大学」は、文系・理系の複数学部を擁する大学を指す日常語だ。対になる日常語は、単一・少数の分野に特化した「単科大学」である。一方「専門職大学」は、法律上の正式な区分であり、従来の大学と同じ「大学」の枠内に新設された、職業教育に重点を置くタイプを指す。4年制の専門職大学と、2〜3年制の専門職短期大学があり、既存の大学の中に専門職学科を置く形もある。

つまり本記事の比較は、正確には「従来型の大学(その代表としての総合大学)」と「専門職大学」の比較になる。そしてもう一つ、混同されやすい第3の存在が専門学校(専修学校)だ。専門学校は法律上「大学」ではなく、卒業で得られるのは学位ではなく「専門士」等の称号である。この3者の位置関係を頭に置くと、以降の違いがすっきり整理できる。

制度としての位置づけを補足すると、専門職大学の卒業者には「学士(専門職)」という学位が授与され、これは通常の学士に相当すると位置づけられている。大学院への進学資格や「大卒」としての扱いという点で、従来の大学卒業と同じ土俵に立つ設計だ。

はるかさん(編集長)のコメント 「総合大学は通称、専門職大学は法律上の類型という次元の違いを最初に押さえると、情報収集の精度が上がります!」

けんさん(副編集長)のコメント 「制度の階層を図にすると、大学(従来型・専門職)と専修学校(専門学校)という構造で、ここが誤解の分かれ目です!」

② 専門職大学の中身:「実習4割・実務家教員4割」の、職業実践に振り切った大学

【対象読者:専門職大学を知りたい高校生 / 難易度:★★☆ / こんな課題を持つ人に:何が新しいのか知りたい】

専門職大学の設計は、数字で見るとその思想がよくわかる。文部科学省の公表情報に基づく特徴を整理する。

特徴 内容
実習の比重 卒業単位のおおむね3〜4割以上が実習・実技。4年制では企業等での学外実習(臨地実務実習)を600時間以上とされる
教員 基幹教員のおおむね4割以上が実務家教員(業界の現場経験者)とされる
授業規模 原則40人以下の少人数授業とされる
教育課程 産業界・地域と連携して編成(教育課程連携協議会)。関連他分野を学ぶ「展開科目」も置かれる
学位 学士(専門職)/短期大学士(専門職)
分野の例 情報、観光、農業、医療・保健、アニメ・ファッション・食などとされる

この設計を一言でいえば、「大学の理論」と「現場の実践」のハイブリッドだ。従来の大学の弱点とされた「理論は学ぶが現場を知らない」と、専門学校の弱点とされた「技能は学ぶが理論の裏づけと学位がない」の、両方を埋めにいく制度である。600時間の学外実習は、インターンシップの比ではない長さで現場に浸かることを意味し、実務家教員の多さは「教科書に載る前の現場の知」に触れられることを意味する。

社会人にも開かれた設計であることも特徴だ。実務経験を修業年限に通算できる仕組みや、多様な入学者の受け入れが制度に組み込まれているとされ、学び直し(本サイトの別記事で扱ったテーマ)の受け皿としての顔も持つ。

なお、医学・歯学・臨床薬学・獣医学の課程は置けないと定められているとされ、これらの道は従来の大学に限られる。

はるかさん(編集長)のコメント 「実習600時間と実務家教員4割は制度上の要求水準なので、どの専門職大学でも共通する骨格として覚えてください!」

みおさん(編集部)のコメント 「インターン数週間でも大変なのに600時間の実習と聞くと、現場で学ぶ覚悟が要る大学だと実感します!」

③ 総合大学(従来型の大学)の中身:幅・研究・環境の厚みという別の強み

【対象読者:従来型の大学の価値を確かめたい高校生 / 難易度:★★☆ / こんな課題を持つ人に:比較の土台を作りたい】

専門職大学の新しさを見た後は、従来型の大学、特に総合大学の強みを同じ解像度で見ておく。比較は、片方だけを詳しく知った状態では歪むからだ。

強み 内容
学びの幅 幅広い教養と学術に基づく専門教育。関心の変化に対応できる
研究への接続 卒業研究・大学院という「問いを立てて探究する」道が太い
学部横断の環境 他学部履修や副専攻など、専攻を越える制度と多様な学生
進路の幅 特定職業に限定されない就職の広がり。文系職・大学院・公務員など多方面
課外の厚み サークル、留学、多様な出会いという「授業の外の教育力」

総合大学の本質的な価値は、「まだ決めていない自分」に対応できる余白にある。入学後に関心が変わっても、学部内でゼミを選び直し、他学部の科目を取り、副専攻で掛け算を作れる(この設計は本サイトの「主専攻を越えて学ぶ」の記事で詳しく扱った)。将来の職業を特定せずに、考える力と教養の土台を4年かけて作る。これは専門職大学の「職業から逆算する設計」とは正反対の、しかし同じくらい正当な教育思想だ。

また、研究者への道、大学院進学、学問そのものへの興味に応える環境は、従来型の大学の独壇場である。専門職大学は研究より実践に重心を置く制度設計であるため、「学問を探究したい」という動機に対しては、従来型の大学が正面の答えになる。

みおさん(編集部)のコメント 「私自身、入学後に興味が変わった側なので、決めていない自分に対応できる余白は総合大学の本当の強みだと思います!」

④ 3者比較と誤解の訂正:「どちらが上」ではなく「設計思想が違う」

【対象読者:一覧で整理したい高校生と保護者 / 難易度:★★☆ / こんな課題を持つ人に:違いを一目で見たい】

専門学校まで含めて、3者を並べる。

観点 総合大学(従来型) 専門職大学 専門学校
法律上の位置 大学 大学(2019年度創設の類型) 専修学校(大学ではない)
目的の重心 教養と学術に基づく専門教育 理論に裏づけられた職業実践力 職業に直結する知識・技能
実習の比重 学部により多様 卒業単位の3〜4割以上(制度上の要求) 分野により高い
教員 研究者中心 実務家教員が4割以上 実務家中心
卒業で得るもの 学士(学位) 学士(専門職)(学位) 専門士等(称号)
大学院進学 可能 可能(学士相当のため) 原則として追加の要件が必要

この表を踏まえて、よくある誤解を3つ訂正しておく。

第一に、「専門職大学は専門学校の言い換え」ではない。法律上の大学であり、学位が出る。専門学校からの高度化という文脈で生まれた制度だが、位置づけは明確に異なる。

第二に、「専門職大学は従来の大学の下位互換」でもない。実習600時間・実務家教員4割という設計は、従来の大学には制度上求められていない水準であり、職業実践力の養成という目的においては、むしろ従来型より要求が重い。上下ではなく、設計思想の違いである。

第三に、「新しい制度だから安心/不安」という単純化も避けたい。ここは正直に書く。専門職大学は制度としての骨格は国が定めているが、歴史が浅いぶん、社会での知名度や就職実績の蓄積は発展途上であり、大学によっては定員の充足に課題を抱える例もあるとされている。つまり、「専門職大学だから良い/悪い」という一般化はどちらも不正確で、個別の大学の教育内容・実習先・就職実績・継続性を見極める重要性が、従来型の大学以上に高いのだ。この見極めの観点は⑤で扱う。

けんさん(副編集長)のコメント 「新制度の評価は平均値でなく個別のデータで行うのが鉄則なので、大学ごとの実績確認を省略しないでください!」

⑤ 選び方:「職業からの逆算」ができるかどうかで、合う制度は決まる

【対象読者:自分の進路を決めたい高校生 / 難易度:★★☆ / こんな課題を持つ人に:判断の軸がほしい】

ここまでの内容を、選び方の軸に変換する。分かれ目になる問いは一つだ。「なりたい職業・分野から、進学先を逆算できるか」である。

逆算できる人、つまり「この仕事に就きたい」「この分野のプロになりたい」が固まっている人にとって、専門職大学は有力な選択肢になる。理論と600時間の現場実習をセットで積み、学位も得られる設計は、目的が明確な人の4年間を濃くする。同じ理由で、専門学校との比較では「理論の裏づけと学位・大学院への道も残したいか」が判断材料になる。

逆算できない人、つまり関心が複数あったり、将来像がまだ曖昧だったりする人には、従来型の大学(特に総合大学)の余白が合う。③で見たとおり、決めていない自分に対応できる構造は従来型の強みであり、無理に職業を先に決めて専門特化の環境に入ると、関心が変わったときの方向転換が難しくなる。

そのうえで、専門職大学を検討する人には、新しい制度だからこその見極めチェックを勧めたい。第一に、実習の実質。提携する実習先はどこか、600時間の中身はどんな業務か。第二に、就職実績。開学からの卒業生がどこへ進んだか(歴史が浅い大学では、母体の学校法人の実績も参考になる)。第三に、教育の継続性。定員の充足状況や大学の経営情報は、公表資料で確認できる。第四に、資格・進路との接続。目指す職業に必要な資格が取れる課程か。オープンキャンパスでは、この4点を具体的に質問してほしい。誠実な大学ほど、具体的に答えてくれる。

最後に、どちらの制度を選ぶにせよ共通する原則を。制度の名前は、あなたの4年間の質を保証しない。従来型の大学にも空虚な4年間はありうるし、専門職大学にも濃密な4年間がある。決めるのは制度ではなく、個別の大学の中身と、あなた自身の学ぶ姿勢だ。制度の違いは地図として使い、最後は必ず、個別の大学を自分の目で確かめてほしい。

はるかさん(編集長)のコメント 「進路指導では、職業から逆算できるかの一問で検討の入口を分けています。答えられない人は焦らず従来型から考えましょう!」

みおさん(編集部)のコメント 「制度は地図、決め手は個別の大学という順番は、学部選びのどの記事とも共通する結論で腑に落ちます!」

まとめ:「学位の出る職業実践の大学」が生まれた。選ぶ軸は逆算の可否

本記事のポイントを整理する。

押さえるポイント 要点
言葉の整理 総合大学は通称、専門職大学は2019年度創設の法律上の類型
専門職大学 実習3〜4割・600時間、実務家教員4割、学士(専門職)の学位
従来型の大学 幅・研究・余白。決めていない自分に対応できる構造
3者の関係 専門学校とは学位の有無が決定的な違い。上下ではなく設計思想の差
選び方 職業からの逆算ができるか+個別大学の見極め4点

そのうえで、この記事独自の推奨基準を示しておきたい。

なりたい職業が固まっている人は、専門職大学・専門学校・従来型の大学の3択を、「理論と学位の必要度」と「実習の量」で比較してほしい。専門職大学はその中間解として設計されており、あなたの目的次第で最適解になりうる。

将来像がまだ曖昧な人は、従来型の大学を軸に検討し、焦って職業を決めないでほしい。余白は逃げではなく、従来型の大学が制度として提供している価値だ。

専門職大学に魅力を感じた人は、制度への期待と個別の大学の実力を分けて評価してほしい。⑤の見極め4点(実習の実質・就職実績・継続性・資格接続)を、オープンキャンパスで直接確認することが、新しい制度と付き合う賢い作法だ。

制度もカリキュラムも各校の状況も更新され続ける。最終判断の前に、必ず文部科学省の公表情報と各大学の最新の公式情報を確認してほしい。

出典:文部科学省「専門職大学・専門職短期大学・専門職学科」に関する公表情報

本記事は志望動機.com編集部が作成したものだ。専門職大学等の制度・設置基準は法令改正により、各大学のカリキュラム・実習・就職実績は大学ごとに異なり、変更される場合がある。本記事は特定の大学・学校種への進学を推奨するものではない。進学を検討する際は、必ず文部科学省の公表情報と各大学の公式サイト・最新の募集要項を確認し、オープンキャンパス等で教育の実態を確かめてほしい。

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