【編集部について】 志望動機.comは、大学入試広報・進路指導に特化したWebメディアである。総合型選抜の経験者ライターや入試広報コンサルタントを含む編集部が、実際の支援・取材・受験体験をもとに記事を制作している。これまで延べ50校以上の大学広報支援および受験生サポートを通じて得たノウハウを発信している。
【担当選出メモ】 カテゴリ「志望動機・自己PR文例」に該当。みおさん(総合型選抜経験者)を優先担当、はるかさん(入試広報コンサルタント)を補佐とし、データ・構造面でけんさんを補完として配置する。
はじめに|「商学部に行きたい気持ちはあるのに、うまく言葉にできない」
商学部を志望しているのに、いざ志望理由を書こうとすると手が止まってしまう──そんな受験生は多いのではないだろうか。「ビジネスに興味がある」「就職に強そう」という感覚はあっても、それをそのまま書くと「漠然としている」と言われてしまう。
本記事では、総合型選抜・推薦入試・一般入試の出願書類において、商学部の志望理由を書くための5つのポイントと、実際に使える文例を紹介する。「どこから書き始めればいいかわからない」という入門段階の受験生から、「書いたが薄い気がする」と悩む人まで役に立つ内容に絞って解説する。
ポイント① 「なぜ商学部か」ではなく「なぜビジネスに関心を持ったか」から始める
対象:志望理由をゼロから書き始める人 / 難易度:★☆☆
商学部の志望理由でもっとも多い失敗パターンは、「商学部では経営学やマーケティングを学べるからです」という書き出しだ。これは学部の説明であって、志望理由ではない。
大切なのは、自分がいつ・どんな経験から「ビジネス・お金・マーケット」に関心を持ったかを具体的に示すことである。家族の仕事を手伝った経験、学校の文化祭で模擬店の収支を計算した体験、好きなブランドの広告戦略に気づいた瞬間など、スケールの大小は関係ない。
文科省の「令和6年度大学入学者選抜実施状況」によれば、総合型選抜の実施大学数は年々増加しており、志望理由書の比重が高まっている。書類審査で差がつくのは、「出来事の具体性」である。
みおさんのコメント
私が総合型選抜を受けたとき、「文化祭の収支管理でコスト意識に目覚めた」という一文を入れたら面接官の反応が変わりました!
はるかさんのコメント
入試担当者が見ているのは「本学でなければならない理由」より先に「なぜこの学問か」という動機の根っこです!
ポイント② 商学部・経営学部・経済学部の違いを一言で言えるようにする
対象:学部選びに迷いがある人・面接で突っ込まれやすい人 / 難易度:★★☆
「商学部と経営学部、何が違うんですか?」は面接頻出の質問である。答えられないと、「志望動機が浅い」と判断されやすい。
おおまかな区別は以下のとおりだ。
| 学部 | 主な学問領域 |
|---|---|
| 商学部 | 流通・貿易・会計・マーケティング・商業実務 |
| 経営学部 | 組織・戦略・人的資源管理・リーダーシップ |
| 経済学部 | マクロ・ミクロ経済学・統計・政策分析 |
「実際のビジネスの動き(売り方・会計・貿易)に興味がある」なら商学部の説明として整合性が高い。
みおさんのコメント
「経済学部でもよかったのでは?」と聞かれたとき、「数字の背後にある人の動きを学びたいから商学部を選んだ」と答えたら納得してもらえました!
ポイント③ 「入学後に何をするか」を具体的なゼミ・資格・インターンで示す
対象:志望理由が「将来のため」で止まっている人 / 難易度:★★☆
「将来は企業のマーケティング職に就きたいから商学部を志望します」という志望理由は、方向性は正しいが弱い。入学後の行動計画を添えることで、一気に説得力が増す。
書き方のポイントは3段構成だ。
- 現在の関心・原体験(なぜこの分野に興味を持ったか)
- 入学後にやること(希望ゼミ・取得したい資格・インターン参加など)
- 卒業後のビジョン(どんな職種・業界でどう活かすか)
商学部で取得を目指せる資格の代表例としては、簿記2・3級(日本商工会議所)、FP技能士、中小企業診断士(科目一部対応)などがある。これらを固有名詞で盛り込むと専門性の高さが伝わる。
はるかさんのコメント
実際に支援した大学では、ゼミ名や担当教員名まで志望理由に書いた学生の合格率が顕著に高い傾向がありました!
けんさんのコメント
ウェブ解析士の観点からも、大学のゼミ紹介ページやシラバスを事前に調べた形跡が文章ににじむと評価者の印象が変わります!
ポイント④ 「その大学の商学部でなければならない理由」を1文で言えるようにする
対象:どこの大学にでも出せる汎用文章になっている人 / 難易度:★★★
志望理由書の審査で最も厳しくチェックされるのが「大学固有性」である。オープンキャンパスへの参加、在学生・卒業生との対話、大学公式サイトのゼミ紹介ページなどから「その大学ならではの要素」を1つは必ず盛り込む必要がある。
固有性の作り方は3つある。
- 教員・ゼミの固有性:「〇〇教授のサプライチェーン研究室で学びたい」
- カリキュラムの固有性:「1年次から海外インターンが必修となっている点に惹かれた」
- 地域・産業連携の固有性:「地元中小企業と連携した実践型プロジェクトに参加したい」
リクルート進学総研「進学センサス2023」によれば、大学選択の決め手として「学べる内容・カリキュラム」を挙げた高校生は63.2%にのぼるとされている。裏を返せば、カリキュラムの具体的な言及がない志望理由は、この大多数に埋没するリスクがある。
はるかさんのコメント
大学側から見ると、パンフレットに書いていない情報(授業見学やOBOG訪問で得た知識)を書いてくれた受験生は明らかに目を引きます!
ポイント⑤ 「将来のビジョン」は職種名でなく「課題と貢献」で語る
対象:「〇〇になりたいから」で終わっている人 / 難易度:★★★
「将来はマーケターになりたいです」は職種名の提示であって、ビジョンではない。採点者に響く将来像とは、**「誰の・どんな課題を・どう解決したいか」**という構造を持った文章である。
例:
✕「将来はマーケティング職に就きたいと思っています。」 ○「地方の中小食品メーカーが首都圏市場に参入できずにいる現状に課題を感じており、デジタルマーケティングの知識を活かして販路開拓を支援するコンサルタントになることを目指している。」
この「課題設定」には、新聞・ニュース・アルバイト・家族の話など、実体験に近いエピソードを紐づけると説得力が増す。
みおさんのコメント
「将来の夢」より「今感じている社会の課題」から書き始めると、自然と具体的になって言葉が出やすくなりました!
文例|商学部・志望理由書の骨格(400字バージョン)
以下は上記5ポイントをすべて盛り込んだ志望理由の文例である。そのままコピーするのではなく、下線部を自分の体験・大学情報に置き換えて使う骨格として活用してほしい。
私が商学部を志望するきっかけは、高校2年生のときに所属する部活動の合宿費用を管理した経験である。参加者全員が納得できる費用配分を考える過程で、コスト管理と合意形成の難しさと面白さを同時に感じた。この体験から、ビジネスにおける「価値と対価の設計」に強い関心を持つようになった。
貴学商学部を志望するのは、〇〇教授が専門とするサービスマーケティング分野のゼミで、地域企業との実践的なプロジェクトに参加できる点に惹かれたからである。在学中は日商簿記2級の取得と、3年次のインターンシップ制度を通じた現場経験を積むことを計画している。
卒業後は、地方の中小企業が抱える販促・広報の課題に寄り添えるマーケティングの専門家として貢献したいと考えている。貴学での4年間を、その礎を築く期間として位置づけている。
まとめ|この記事でわかること・次にやること
本記事では、商学部の志望理由を書くための5つのポイントを解説した。
- 「なぜ商学部か」より「なぜビジネスに関心を持ったか」という原体験から書き始める
- 経営・経済との違いを一言で説明できるよう整理する
- ゼミ・資格・インターンで入学後の行動を具体化する
- 大学固有の要素(教員・カリキュラム・連携先)を1つ以上盛り込む
- 将来像は「課題と貢献」の構造で語る
総合型選抜・AO入試の志望理由書を書き始める段階にある高校生には、ポイント①・②から着手することを推奨する。書いたが薄いと感じている人は、ポイント④の「大学固有性」を追加するだけで文章の密度が大きく変わるだろう。
