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はじめに:「文系に行くことは決めたが、どの学部がいいかわからない」は多くの高校生が直面する問いだ
「文系に進むことは決まっているけれど、学部が多すぎて何を選べばいいかわからない」——こうした悩みを持つ高校生は多いのではないだろうか。
文学部・法学部・経済学部・経営学部・社会学部・心理学部・国際学部……文系の学部は数が多く、名称も似ているものがあるため、違いを正確に把握するのは容易ではない。しかし、学部選びを「なんとなく」で決めると、入学後に「授業の内容が思っていたものと違った」というミスマッチが起きやすい。
文部科学省「令和4年度学校基本調査」によると、文系に分類される社会科学系・人文科学系は大学入学者全体の約4割を占めており、理系進学者より文系進学者の方が多いとされている。それだけ選択肢が多い分、「自分に合った学部を選ぶための知識」が重要になる。
本記事では、文系の主要な学部を「人文科学系」と「社会科学系」に分けて解説し、それぞれの学問の特色・向いている人・卒業後のキャリアをまとめる。学部選びの軸と志望動機書への活かし方も合わせて解説する。
まず整理:文系は「人文科学系」と「社会科学系」の2つに大別される
対象読者: 文系学部の分類をゼロから理解したい人 / 難易度:★☆☆ / こんな課題を持つ人に:文系の学部が多すぎてどこから考えればいいかわからない
文系学部は大きく2つの系統に分類される。この分類を理解しておくと、自分の興味がどちらの方向にあるかが判断しやすくなる。
| 分類 | 研究の対象 | 代表的な学部 |
|---|---|---|
| 人文科学系 | 人間の内面・文化・思想・言語・歴史 | 文学部・外国語学部・哲学・歴史学・心理学部 |
| 社会科学系 | 人間の社会・制度・経済活動・組織・法律 | 法学部・経済学部・経営学部・社会学部・商学部・国際関係学部 |
「自分の内側(人間・文化・言語・こころ)への興味」が強い人は人文科学系、「社会の外側の仕組み(法律・経済・組織・国際関係)への興味」が強い人は社会科学系が向いているとされている。
ただし、この区分はあくまで大まかな目安だ。心理学部は人間の内面を扱うが、社会心理学・産業心理学など社会との接点も多い。国際関係学部は文化・政治・経済すべてを扱う学際的な学部だ。「この系統だから絶対この学部」という固定的な見方ではなく、各学部の具体的な学問内容を確認することが重要だ。
みおさん(編集部)のコメント 「私が学部選びで迷っていたとき、人文系と社会科学系の分類を知るだけで選択肢が半分に絞れて、そこから具体的な学部を比べるのがすごく楽になりました!」
人文科学系の主要学部:人間・言語・文化・こころを問う
対象読者: 文学・言語・歴史・心理などへの関心がある人 / 難易度:★☆☆
① 文学部
学問の核心: 言語・文学作品・歴史・哲学・思想を通じて「人間とは何か」を問う
国文学・英文学・比較文学・言語学・哲学・歴史学・考古学など、多彩な専攻が集まるのが文学部の特色だ。一つのテキスト(文学作品・古文書・哲学書など)を深く読み込み、その背景にある文化・思想・社会を解析する力を養う。語学力・読解力・論理的な文章力が身につくとされている。
卒業後のキャリア例: 出版社・編集者・ライター・教員・図書館員・文化施設・博物館・行政(文化政策)・マスコミなど
② 外国語学部
学問の核心: 特定の言語の習得とその言語圏の文化・歴史・社会を同時に学ぶ
英語・中国語・フランス語・スペイン語など特定の言語を専攻として設定し、語学力と異文化理解を同時に深めることが特色だ。単に言語を「使えるようになる」だけでなく、その言語が使われている地域の歴史・政治・文化を学問として捉える点で、英会話スクールとは根本的に異なる。
卒業後のキャリア例: 通訳・翻訳・外資系企業・貿易会社・国際機関・観光業界・教育機関・出版(海外文学翻訳)など
③ 心理学部・心理学科
学問の核心: 人間の心のメカニズムを科学的な実験・調査・データ分析で解明する
「心理学=カウンセリング」と思われがちだが、心理学は「人間の認知・感情・行動を科学的に解明する学問」だ。実験・統計・調査が多く、理系的な思考も求められる分野だ。臨床心理学・発達心理学・社会心理学・認知心理学など専門領域が広い。
卒業後のキャリア例: 公認心理師(大学院修了後)・学校カウンセラー・人事労務・広告・市場調査・福祉施設・研究職など
はるかさん(編集長)のコメント 「文学部・外国語学部を志望する学生の志望動機書で最もよく見る弱点は『その言語・作品が好きだから』で止まっていることで、『学問として何を解明したいか』への接続が評価を分けます!」
社会科学系の主要学部:社会の仕組み・制度・経済を問う
対象読者: 法律・経済・経営・社会・国際関係などへの関心がある人 / 難易度:★☆☆
④ 法学部
学問の核心: 社会のルール(法律)を理解し、解釈し、運用できる法的思考力を養う
民法・刑法・憲法・商法・国際法など、社会を規律するルール体系を体系的に学ぶ。「法律を暗記する」学問ではなく、「どのルールがなぜ設けられているか、どう解釈すべきか」を論理的に考える訓練が中心だ。文系の中で最も論理的思考力を鍛える学部の一つとされている。
卒業後のキャリア例: 弁護士・検察官・裁判官(法曹三者・司法試験要)・公務員・企業法務・行政書士・コンプライアンス担当など
⑤ 経済学部
学問の核心: 社会全体・市場・国家の経済活動を理論とデータで解明する
ミクロ経済学(個別市場・消費者・企業の行動)とマクロ経済学(国全体の経済成長・物価・雇用)を柱に、統計学・計量経済学・財政学・金融論・国際経済など幅広い分野を学ぶ。文系学部の中で最も数学を使う学部の一つとされており、論理的・数量的な思考を得意とする人に向いている。
卒業後のキャリア例: 銀行・証券・保険・財務省・日本銀行・シンクタンク・コンサルティング・公務員(経済政策)・企業の財務・経理など
⑥ 経営学部・商学部
学問の核心: 企業・組織をどうすればうまく動かせるかを実践的に学ぶ
マーケティング・人材マネジメント・会計学・ファイナンス・経営戦略など、企業経営に必要な知識を体系的に学ぶ。経済学が「社会現象の解明」を志向するのに対して、経営学は「組織の問題解決」を志向する実践的な学問だ。ケーススタディ・グループワーク・インターンシップなど実務的な学習が多い傾向がある。
卒業後のキャリア例: 営業・マーケター・コンサルタント・経営企画・人事・金融機関・起業・中小企業診断士など
⑦ 社会学部
学問の核心: 社会現象・人間関係・文化・メディアを科学的に調査・分析する
「なぜ格差は生まれるのか」「SNSは人々の行動をどう変えるのか」「家族の形はなぜ変化するのか」——こうした社会の「当たり前」を疑い、調査・統計・インタビューで解析する学問だ。社会調査士の資格取得を支援する大学も多く、フィールドワークが豊富な点が特色だ。
卒業後のキャリア例: 広告・マスコミ・市場調査・NPO・公務員・シンクタンク・人材会社・教育機関など
⑧ 国際関係学部・国際学部
学問の核心: 国際政治・国際経済・異文化・地域研究をグローバルな視点から総合的に学ぶ
政治学・経済学・歴史学・地域研究・外国語を横断的に学ぶ学際的な学部だ。英語での授業・海外研修・留学プログラムが充実している大学が多い。「国際的に活躍したい」という志向と学問内容が直結しているため、志望動機が立てやすい学部だともいわれている。
卒業後のキャリア例: 外務省・国際機関(JICA・UN等)・外資系企業・商社・国際NGO・海外ビジネス展開企業など
みおさん(編集部)のコメント 「国際関係学部は学部名から『英語が得意な人が行くところ』というイメージがありがちですが、実際は政治・経済・歴史の幅広い知識が求められ、英語はあくまで学ぶための道具だと先輩から聞きました!」
⑨ 教育学部
学問の核心: 教育の理論・実践・制度・心理を学び、人を育てる専門性を身につける
教育心理学・教育方法学・特別支援教育・学校経営論など、教育に関わるあらゆる側面を学ぶ。教員免許取得を目的に入学する学生が多い一方、教育政策・社会教育・企業内研修など、学校以外のキャリアを目指す学生も増えているとされている。
卒業後のキャリア例: 小中高校の教諭・養護教諭・特別支援学校教員・学習塾・教材会社・行政(教育委員会)・NPO(教育支援)など
けんさん(副編集長)のコメント 「就職データを見ると教育学部卒業生の教職就職率は約5割程度とされており、残り半数は一般企業・公務員・教育関連の民間企業に進むため、教員以外の進路も視野に入れたキャリア設計が重要です!」
学部選びの4つの軸:「なんとなく」を防ぐ思考のフレーム
本記事で紹介した学部の中から自分に合ったものを選ぶための、4つの判断軸を示す。
軸① 「問いの方向性」で選ぶ 「人間・文化・こころの内側を問いたいか(人文系)」それとも「社会・制度・経済の外側の仕組みを問いたいか(社会科学系)」を先に決めると、選択肢が半分に絞れる。
軸② 「数学の比重」で選ぶ 経済学部・心理学部は統計・数学を多用するとされている。法学部・文学部・社会学部は数学の比重が相対的に低い。高校での得意科目と照らし合わせることも選択の参考になる。
軸③ 「キャリアの方向性」で選ぶ 法曹・公務員を目指すなら法学部、教員を目指すなら教育学部というように、資格・職業と直結している学部がある。ただし「つぶしが効く」学部を選ぶより、4年間夢中で学べる学問を選ぶことの方が長期的なキャリア形成には重要だとされている。
軸④ 「学び方のスタイル」で選ぶ フィールドワーク・実地調査が好きなら社会学部、論文・テキスト分析が好きなら文学部・法学部、グループワーク・ケーススタディが好きなら経営学部・商学部が向いているとされている。
はるかさん(編集長)のコメント 「支援した大学の入試担当者から共通して聞くのは、学部選びの軸が明確な受験生は志望動機書も面接も具体的になる一方、『何でも学べそうだから』と選んだ学生の書類は薄くなりがちだということです!」
志望動機書に活かす:「なぜその学部か」を3段階で語る
学部が決まったら、次は「なぜその学部なのか」を志望動機書で語ることになる。以下の3段階の構成が有効だとされている。
【第1段階:きっかけ】
自分がその学問に関心を持ったエピソード・体験
→「いつ・どんな体験で・どんな問いを持ったか」を具体的に
【第2段階:学問との接続】
その問いが、その学部の学問でどう解明できるか
→「その学部の何を学べば、自分の問いに近づけるか」を示す
【第3段階:キャリアとの接続】
学んだことを将来どのように活かしたいか
→「誰に・何を・どんな方法で貢献するか」を具体化する
この3段階が揃うと、「なぜその学部でなければならないのか」が論理的に説明できる志望動機書になる。
まとめ:文系の学部は「何を問う学問か」で選ぶ
本記事で紹介した文系の主要学部を整理する。
| 系統 | 学部 | 問いの核心 |
|---|---|---|
| 人文科学系 | 文学部 | 言語・文化・思想を通じて人間を問う |
| 人文科学系 | 外国語学部 | 言語と文化圏を同時に深く学ぶ |
| 人文科学系 | 心理学部 | 人間の心のメカニズムを科学する |
| 社会科学系 | 法学部 | 社会のルールを論理的に理解・解釈する |
| 社会科学系 | 経済学部 | 市場・社会・国家の経済現象を解明する |
| 社会科学系 | 経営・商学部 | 企業・組織の問題解決を実践的に学ぶ |
| 社会科学系 | 社会学部 | 社会現象を調査・統計で科学的に分析する |
| 社会科学系 | 国際関係学部 | 国際社会の政治・経済・文化を横断的に学ぶ |
| 社会科学系 | 教育学部 | 教育の理論・実践・制度を総合的に学ぶ |
「この学部に行けば将来が保障される」という発想より「この学部で4年間、自分が夢中で向き合える問いがあるか」という発想で選ぶことが、入学後の充実度とキャリア形成の両方に影響するとされている。本記事の内容を参考に、自分の関心と学問の核心を照らし合わせながら選んでほしい。
みおさん(編集部)のコメント 「学部の名前で選ぶのではなく、その学部で学ぶ代表的な科目名を調べてみると、自分が面白そうと感じるかどうかが直感的にわかるのでおすすめです!」
本記事は志望動機.com編集部が作成したものだ。記事内の統計データは各出典の公表時点における情報をもとにしている。最新情報は各機関の公式サイトで確認することをすすめる。
